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現在、展示入替の為休館中です。 休館期間:2025年1月6日(月)から4月24日(木) 4月25日より第16期「砂で世界旅行・日本」を開催します。
HOME > 第15期 砂で世界旅行・フランス編~栄光の革命史と世界を魅了する芸術の国へ~
ヴェルサイユ宮殿やノートルダム大聖堂、皇帝ナポレオンなど、フランスの伝統と革命の歴史をテーマにした砂像18作品を展示。茶圓勝彦氏をプロデューサーとし、海外から20名の砂像彫刻家が参加し、制作にあたった。
ノートルダム大聖堂(パリ)
「我らの貴婦人」を意味し、聖母マリアを讃えるノートルダム大聖堂。1163年から約180年かけて完成した荘厳な大聖堂には多数の彫像や内部のステンドグラスなどの装飾が施されゴシック建築の最高傑作と称されています。しかし18世紀のフランス革命で一部が破壊されその後荒廃していきました。1831年にヴィクトル・ユゴーが小説『ノートルダム・ド・パリ』を発表すると大聖堂の価値が見直され、修復が行われました。1991年にはセーヌ河岸の他の建造物とともに世界遺産に登録されています。現在は2019年に発生した火災の修復作業が行われており2024年12月に再開予定です。作品では火災前の大聖堂を制作しています。 砂像彫刻者:Andrius Petkus(アンドリウス・ペトクス)/リトアニア、Donatas Mockus(ドナタス・モッカス)/リトアニア
小説『ノートルダム・ド・パリ』
ヴィクトル・ユドーが1831年に発表した小説『ノートルダム・ド・パリ』。時は1482年。ノートルダム大聖堂の鐘つきをしているカジモドは、目の上に瘤があり背骨が折れ曲がった醜い容姿から奇異の目で見られていました。彼はジプシーの美しい踊り子エスメラルダと出会って初めて人の優しさを知り、恋に落ちます。しかし彼女は美男の近衛隊長と親密になったことで無実の罪を着せられ魔女裁判にかけられました。カジモドはエスメラルダを大聖堂の鐘塔にかくまいますが、抵抗むなしく彼女は処刑され、物語は悲しい結末を迎えます。ノートルダム大聖堂のように直立する砂像は制作中に崩れるリスクを伴います。この作品はそれを回避するためにサポートする役割も果たしています。 砂像彫刻者:Andrius Petkus(アンドリウス・ペトクス)/リトアニア、Donatas Mockus(ドナタス・モッカス)/リトアニア
パリの風景
世界が憧れる華やかなパリの街。街の中心をセーヌ川が流れ、その左岸にはドーム屋根の「裁判所」、フランス革命で監獄として使用されていた「コンシェルジュリー」が見えます。手前の橋はナポレオン3世が建造を命じた「シャンジュ橋」、右はパリを代表する美術館のひとつ「オルセー美術館」です。遠景には「エッフェル塔」があり、建造物はオリジナルの構成になっています。作品では左右にノートルダム大聖堂の塔にあるキメラの像が大きく作られ、20世紀初頭のパリ市民と共にバルコニーから景色を眺めてタイムスリップしたような気分を楽しめます。 砂像彫刻者:Slava Borecki(スラヴァ・ボレツキ)/ポーランド
建国の王クローヴィス
ゲルマン系の民族であるフランク族を統一し、481年にフランク王国を建国したクローヴィス。ゲルマン民族が信仰していたキリスト教アリウス派から、ローマ人が信仰していた多数派であるアタナシウス派(後のカトリック)に改宗しました。ローマ教会や貴族たちの後ろ盾を得て勢力を拡大したフランク王国はフランスの国名の由来とされ、歴代の王はクローヴィスから数えられます。作品ではクローヴィスが洗礼を受ける様子をロマネスク風のフレームで装飾することにより、中世ヨーロッパの宗教画の雰囲気を醸しています。 砂像彫刻者:Oscar Rodriguez(オスカー・ロドリゲス)/スペイン
百年戦争
フランスとイギリスの王位継承問題と領土争いを発端に、1339年から1453年まで続いた百年戦争。前半はイギリスの優勢でしたが、1422年にフランス王シャルル7世が即位すると形勢逆転し、フランスの勝利で終結しました。作品では、兵士の重厚な甲冑や、遺体にかけられた布の質感がリアルに造形され、背景の激しい戦闘の様子とともに、中世ヨーロッパの不穏な雰囲気が表現されています。左側の盾はフランス王家の百合の紋章、右は三頭のライオンと百合を組み合わせて「イングランドとフランスの王」を表すイギリスの旗印です。 砂像彫刻者:Ilya Filimontsev(イリヤ・フィリモンツェフ)/ロシア
ジャンヌ・ダルク
百年戦争の終盤に登場しフランスを勝利に導いたジャンヌ・ダルク。信心深い村娘が神のお告げを受け、国王シャルル7世に進言したのは16歳のときでした。そこから一躍、軍を先導し士気を高める戦場のシンボルとして活躍します。砂像では、前景に「オルレアンの戦い」で拠点都市をイギリスから奪回した堂々たる姿、後景にはその2年後に異端裁判により火刑に処される姿が造形されます。光と影を対比して構成することで、わずか19年の生涯を劇的に表現しています。なお、死の25年後に名誉復古され、1920年にはカトリック教会の聖人に列聖しています。 砂像彫刻者:Helena Bangert(ヘレナ・バンガート)/オランダ
絶対王政
絶対王政は国王が絶対的な権力をもつ統治体制のことで、16~18世紀の西ヨーロッパで成立しました。フランスでは、「太陽王」と呼ばれ72年間在位したルイ14世の時代に全盛を極めます。「朕は国家なり」という有名な言葉が示す通り、ルイ14世は独断で戦争を繰り返し領土を広げます。また、パリ郊外に豪華なヴェルサイユ宮殿を建造、王宮を移して貴族や官僚を住まわせ権力の一極集中を図りました。しかし晩年は戦費がかさみ財政難に陥りました。作品では、貴族たちを背にルイ14世を威厳に満ちた姿で造形し彼の黄金期を表現しています。 砂像彫刻者:Dmitrii Klimenko(ドミトリー・クリメンコ)/ロシア
フランス革命
18世紀後半に即位したルイ16世の時代は、14世から続く対外戦争の負債を抱え、さらに王妃マリー・アントワネットらの浪費が財政を脅かしていました。国王は財政難を新たな課税で賄おうとしましたが国民は反発します。国王からの武力弾圧に民衆が蜂起し、1789年フランス革命が勃発しました。聖職者や貴族の特権廃止など、国民が自由・平等を求めた戦いの中で王権が停止され、ルイ16世ら王族・貴族は次々と有罪になりギロチンにかけられました。作品では、処刑場の革命広場に集まった人々の勢いと、革命前のルイ16世とマリー・アントワネットの優雅な姿を対比的に表現しています。 砂像彫刻者:Michela Ciappini(ミケーラ・チャピーニ)/イタリア
ヴェルサイユ庭園-バッカスの泉水
フランス式庭園の最高傑作とされるヴェルサイユ宮殿の広大な庭園には約1,400の泉水があり、ルイ14世の愛した豪華で華麗なバロック様式の彫刻が施されています。一方で宮殿内には、ルイ15世の時代に生まれたロココ様式の繊細で優美な装飾や調度品も共存しています。本作は泉水のひとつで、ローマ神話のワインを司るバッカス神の彫刻を中央に配し、周囲を曲線的なロココ調のレリーフで囲む構成です。その空間を水による演出で彩り、華やかな宮廷文化を表現しています。 砂像彫刻者:Jill Harris(ジル・ハリス)/アメリカ
ヴェルサイユ宮殿
ルイ14世によって建造されたバロック建築の最高傑作であり、ブルボン朝の最盛期を物語るヴェルサイユ宮殿。外壁は赤れんがとクリーム色の切り石で作られ、一部には金の装飾が輝きます。宮殿内は王族の居室をはじめ礼拝堂や劇場、豪華絢爛な装飾で賓客を圧倒した「鏡の間」など700以上の部屋があります。ルイ14世は贅の限りを尽くした宮殿と庭園を庶民にも公開し権力を示しました。この宮殿は18世紀以降に建築された世界の宮殿の多くに影響を与えています。背景にはギリシャ神話の太陽神アポロンが馬車に乗り天に昇る姿が彫刻され、宮殿の天井画を彷彿とさせます。また、広大な宮殿のスケールを表現するため、絵画における一点透視遠近法を応用した構成となっており、細部には緻密な造形がめぐります。 砂像彫刻者:Leonardo Ugolini(レオナルド・ウゴリニ)/イタリア、Enguerrand David(アンゲフォン・ディビッド)/ベルギー
ナポレオンの戴冠式
フランス革命の社会混乱の渦中、市民は新たなリーダーを求めていました。そこに登場した若き天才軍人ナポレオンは、パリの暴動を鎮圧し、革命の英雄となります。さらにイタリアやエジプトへの遠征で活躍し、1799年、30歳のときに執政政府を樹立して革命終結を宣言しました。本作はルーブル美術館所蔵の名画、ダヴィッド作《皇帝ナポレオン1世と皇后ジョゼフィーヌの戴冠式》をモチーフに、ノートルダム大聖堂の荘厳な空間を表わしています。1804年35歳で即位したナポレオンは、国民から選ばれたことを示すため、帝冠を自分自身に戴冠しました。絵画では皇后への戴冠が描かれますが、砂像では自身へ戴冠する場面を造形しています。後のフランス国家に大きな影響を与えたナポレオンの栄光を強調して表現しています。 砂像彫刻者:David Ducharme(デビッド・ドゥシャーム)/カナダ、Susanne Ruseler(スザンヌ・ルセラ)/オランダ
フランス文学-レ・ミゼラブル
ヴィクトル・ユゴーが1862年に発表した小説『レ・ミゼラブル』。主人公は元囚人の男ジャン・ヴァルジャン。社会を恨んでいた彼は無償の愛に触れて改心し、人を助けながら波乱の人生を送ります。作品の中央にある小説の表紙絵ではヒロインのコゼットが造形されています。右は女中として酷使される幼いコゼットとヴァルジャンが出会うシーン。左は成長したコゼットの恋人マリユスが暴動で重症を負い、ヴァルジャンに助けられて下水道に逃げたシーンです。作品では、革命や戦争など19世紀前半の不安な社会情勢の中、たくましく生きる人物の表情を繊細に表現しています。 砂像彫刻者:Marielle Heessels(マリエレ・ヒーセルス)/オランダ
フランスの森
美しく広大なフランスの森は、さまざまな豊かな文化を育んできた魅力ある場所です。古来よりおとぎ話や物語の舞台であり、かつては王侯貴族による狩猟の場でもありました。作品では、森に生息するシカやクマ、イノシシなど動物たちが生き生きと表現され、生い茂る木々の上にはフクロウやヤマネコなど小さな動物も隠れています。遠景には、雄大なアルプス山脈がそびえます。手前には、狩りに出かけてきたルイ14世とハンターが彫刻されており、作品に物語性を与えています。 砂像彫刻者:Inese Valtere(イネス・ヴァルテーレ)/ラトビア
フランス美術-民衆を導く自由の女神
19世紀フランスの画家ドラクロワによる、ルーブル美術館所蔵の名画《民衆を導く自由の女神》。描かれているのは、1830年にパリで起こった七月革命です。ナポレオン失脚後、1814年に復活したブルボン王朝に対する市民革命で「栄光の3日間」とも呼ばれます。動乱を生き抜く市民の姿をドラマチックに描き、革命期に誕生した三色旗と象徴的女性像マリアンヌも登場します。本作では、ロマン主義の傑作と言われる名画の躍動感を、彫刻ならではの迫力ある構成で表現しています。 砂像彫刻者:Thomas Koet(トーマス・クォート)/アメリカ
ベル・エポック
19世紀末から1914年 第一次世界大戦前のフランスは「Belle Époque/良き時代」と呼ばれます。エッフェル塔完成や1900年パリ万博に象徴されるように市民生活も豊かになり、美術の世界でも新しい時代を意識した造形が生まれました。ミュシャに代表されるアール・ヌーヴォーが流行したのもこの時期です。本作は、前景にデュアール・マネによる絵画《フォリー・ベルジェールのバー》をモチーフに、背景には市民や画家の社交場であったダンスホールのイメージを組み合わせ、華やかな時代の空気を表現しています。 彫刻者:Sue McGrew(スー・マクグリュー)/アメリカ
自由フランス
フランスがナチス・ドイツに占領されていた第二次世界大戦中、1940年に英国ロンドンにて亡命政府「自由フランス」は結成されます。中心人物のシャルル・ド・ゴール将軍は、亡命先からラジオを通して国民にレジスタンス(ナチスに対する抵抗運動)を演説しました。そして1944年8月にドイツ軍が撤退した「パリ解放」後、凱旋門前のパレードでは名実ともに救国の英雄として讃えられました。作品では、ふたつの歴史的な場面におけるド・ゴールの威厳とカリスマ性を表しています。 砂像彫刻者:Guy Olivier Deveau(ギ―・オリヴィエ・ドゥヴォ)/カナダ
観光大国フランス
世界で最も海外からの観光客を集めているフランス。豊かな自然と華やかな文化、誰もが知る歴史など魅力は尽きません。作品の中央はフランスのアーティスト集団が手がけた高さ12m重さ約48tの巨大な機械仕掛けの象「グラン・エレファン」です。左は世界遺産ロワール渓谷の古城群のひとつ「シュノンソー城」、右は満潮時に海に浮いているかのような幻想的な光景が見られるカトリックの修道院「モン・サン・ミッシェル」です。背景にはヨーロッパアルプスの最高峰モンブランとアヴィニョン教皇庁を制作し、フランスの観光名所を組み合わせたデザインになっています。 砂像彫刻者:Benoit Dutherage(ベノワ・デュトゥラージュ)/フランス
フランスのファッション
女性がコルセットから解放されたのは、近代化にともない女性の社会進出が進んだ20世紀初頭のことでした。第2次世界大戦後になると、クリスチャン・ディオールは細く絞ったウエストとフレアスカートが特徴的な「ニュールック」を発表し、時代が求める女性らしいスタイルは平和のシンボルとも言われました。本作では、パリコレなど常にモードの最先端を創造するファッション文化の象徴を、シンプルな造形で表現しています。 砂像彫刻者:Jihoon Choi(チェ・ジフン)/韓国
フランスの食文化
世界三大料理にも数えられるフランス料理。元は食材を焼いただけのシンプルな宮廷料理でしたが、16世紀にイタリアの影響を受けて料理の幅が広がり、食器や食事のマナーも持ち込まれました。フランス革命で宮廷を離れた料理人たちが街にレストランが開店すると、庶民もフランス料理を楽しめるようになりました。その後「ガストロノミー」という言葉が生まれ、料理は文化・芸術として考えられるようになりました。繊細な盛り付けと洗練された調理技法から生み出される料理は世界で愛され、才能あるシェフたちによって進化し続けています。 砂像彫刻者:Jihoon Choi(チェ・ジフン)/韓国
フランスのスポーツ - ヴェルサイユ宮殿での馬術競技
本作品は、2024年6月12日~6月28日に砂の美術館展望広場にて公開制作をおこなったものです。 砂像彫刻者:茶圓勝彦(チャエン・カツヒコ)/日本
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